「森保式3バック」とトリニダード・トバゴ戦無得点の重大な関係 (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

 なぜこれまで、4バックを採用してきたのか? 

 トリニダード・トバゴ戦後の会見で理由を問われた森保監督は、ようやくこれまでにないコメントを吐いた。「ロシアW杯に西野さんのコーチとして参加してみて、このほう(4-2-3-1)が日本人には合っているのかなと感じた」のだそうだ。

 では、それまで採用してきた3-4-2-1を、森保監督は誰に適したサッカーだと考えているのだろうか。これは人種や国民性とはまったく関係ない問題だ。世界を眺めれば一目瞭然。主義や哲学に関わる問題なのだ。

 試合後の会見でさらに、「3バックか4バック、今後、使用する布陣はどちらが増えそうか」と訊ねられた森保監督はこう答えた。

「現段階では4バックだと思っていますが、これは選手にも話したことですが、3バックにしても4バックにしても、我々がやろうとしている原理原則は変わらないので、そこは必要以上に難しく考えないようにしたいと思っています」

 原理原則は変わらない。必要以上に難しく考えない。これが本心だとすれば困りものだ。3バックか4バックかは、まさに原理原則の問題だからだ。十分こだわった末の選択でなくてはならない。

 もちろん例外はある。3バックとひと口に言っても、さまざまな種類があるからだ。4バックも同様だが、より意味が広範なのは3バックだ。

 68メートルあるピッチの横幅を均等にカバーしようとしたとき、妥当な人数は4人だ。3人では間隔が広すぎる。3バックには、3バックを常時維持できない宿命がある。したがって、普段は3人で、相手が攻め込んできた場合は4人に変化する3バックと、普段は3人で、相手が攻め込んできたら(とくに相手が両サイドを突いてきたら)5人に変化する3バックがある。

 その3バックは5バックにどれほどなりやすいか。5バックに「なりやすい3バック」は守備的サッカーに、「なりにくい3バック」は攻撃的サッカーにカテゴライズされる。後ろで守るサッカーか、高い位置で守るサッカーか。3バックとひと言でいっても、両者には決定的な違いがある。

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