「韓国の久保建英」らタレント豊富な宿敵にU-20日本代表はどう挑む (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Getty Images

 そして、いずれも自陣左サイドでのボール奪取からのカウンターで、韓国は42分にFWオ・セフンが、後半12分にFWチョ・ヨンウク(※選手のポジション表記はすべて、実際の布陣ではなく、大会登録時のポジションによる。以下同じ)がゴールを決めて、2点をリード。反撃に出るアルゼンチンに1点を返されたが、完勝と言っていい内容で勝ち点3を手にした。

 今大会の韓国は、ポルトガル、アルゼンチンという実力上位の相手には、守備重視の5-3-2で戦い、勝たなければならない南アフリカには、中盤の枚数を増やす4-4-2で臨んでいる。チョン・ジュンヨン監督が「今日(アルゼンチン戦)の戦術は気に入っているが、次の試合はまた別だ」と話しているように、日本戦でどのようなフォーメーション、戦術を採用してくるかはわからない。

 ただ、今大会の韓国を見る限り、4-4-2にしたからと言って、さほど攻撃の脅威が増しているわけではない。むしろ、5バックでしっかりと守備を固め、明確な武器を持つ2トップを生かしたカウンターに徹してくるほうが、日本には厄介かもしれない。

 2トップとはすなわち、先制点を決めた身長193cmのストライカー、オ・セフンと、それをアシストした左利きのテクニシャン、MFイ・ガンインである。

 18歳ながら(久保建英と同じ2001年生まれだ)、すでにバレンシアでトップデビューを果たしているイ・ガンインは、卓越した技術を生かしたキープ力で、攻撃に不可欠な存在となっている。その際立った活躍は、チョン・ジュンヨン監督も「守備から攻撃へとうまくつなげてくれる」と絶賛する。

 劣勢を強いられたアルゼンチン戦の序盤、もし彼のキープ力がなければ、韓国は攻撃の時間を作り出せず、アルゼンチンの猛攻にさらされる時間がもっと長くなり、最後まで持ちこたえることはできなかったかもしれない。

 2、3人の相手選手に囲まれても、ほとんどボールを奪われないイ・ガンインのテクニックは、中立であるはずの地元ファンを魅了した。彼がボールを持つと、スタンドは沸き、(判官びいきもあっただろうが)次第に韓国への声援を大きくしていった。

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