イタリア人記者が見たU―20日本「システムが研究、工夫されている」

  • パオロ・フォルコリン●文 text by Paolo Forcolin
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

 ポーランドで行なわれているU-20ワールドカップ。グループリーグのグループBではイタリアと日本が、エクアドルとメキシコを抑えて決勝トーナメントに進出した。イタリアは勝ち点7で首位、日本が勝ち点5での2位通過だ。

 これはイタリア人にとっても日本人にとっても満足のいく結果だろうが、日本がこのポストを獲得するのは、かなりの快挙だったと思う。決勝トーナメントは、決して日本に約束されていたものではなかった。

 初戦のエクアドル戦を引き分け、メキシコに大勝、そして3戦目はすでに通過が決まっているイタリアが相手となった日本。一方のアッズリーニ(U‐20イタリア代表)は、警告をもらっている選手が7人もいることと、エネルギー温存のため、第1戦、第2戦からメンバーを大幅に変え、日本戦でピッチに立ったレギュラークラスの選手はたったの2人だった。

 イタリアは引き分ければ十分で、その意図はキックオフ時点から読み取れた。日本も勝ち点1を取れば十分だったが、ふたつのチームのメンタリティーの違いにより、日本は果敢に攻撃に出て、イタリアを守備に回らせた。

 日本はメキシコ戦で重要な役割をしたFW宮代大聖とMF藤本寛也を欠いてはいたが、若きサムライたちはまたもやすばらしい試合を見せた。結果は0-0だったものの、勝利に値するほどの出来であったと私は思う。一方、イタリア側でのマン・オブ・ザ・マッチは文句なく控えGKのマルコ・カルネセッキだろう。試合開始早々のMF伊藤洋輝のPKを防ぎ、それ以降のセーブも光っていた。
 
イタリア戦で相手をいらだたせていたMF斎藤光毅 photo by Sato Hiroyukiイタリア戦で相手をいらだたせていたMF斎藤光毅 photo by Sato Hiroyuki さて、日本のどこが気に入ったのか。イタリア戦でも、そしてその前の2試合でも、日本は個々のテクニックの質の高さと、スピードがありながら統率のとれたプレー、ボールを持った相手を窒息させるようなプレッシャーを見せていた。

 イタリア戦では守備陣が目を引いた。注意深く、明確な意図を持って動くサイドバック(菅原由勢と東俊希)、肝の座ったセンターバック(小林友希と三國ケネディエブス)。小林のオウンゴールを狙ったかのようなパスには失笑してしまったが、それもGK若原智哉が注意深く構えていて、最悪の事態を回避した。

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