2019.05.28

播戸竜二は言う。20年前の
日本代表には「トルシエ監督が合っていた」

  • 佐藤 俊●取材・構成 text by Sato Shun
  • 甲斐啓二郎●撮影 photo by Kai Keijiro

 トルシエ監督の猛烈な指導や理不尽なモノの言い方に反発する選手もいた。石川竜也はそのひとりだったが、グループリーグ第3戦のイングランド戦でFKを決めると、ベンチにいるトルシエ監督のところへ一目散に走っていって、抱き合って喜んだ。

 その光景を、播戸は「結局、トルシエのところに行くんかい」と笑って見ていたという。厳しい指導も、すべて選手のためである――それを、各選手が感じ取っていたことがわかる象徴的なシーンだった。

トルシエ監督について語る播戸トルシエ監督について語る播戸  はたして、快進撃を続けたU-20日本代表はついに決勝戦に駒を進めた。

 相手はスペインだった。早い時間に失点し、リードを広げられ、播戸は後半11分から出場した。スペインの強さは、ベンチから見ていても驚くほどの衝撃を受けたが、実際にピッチに入ってプレーしてみると、その凄さに一段と驚愕した。

「『ちょっとレベルが違うな』と思ったね。だって、イナ(稲本潤一)がボールを取りにいっても取られへんことなんて、Jリーグでは見たことがなかったからね。ボールを取りにいくとクルクルと回されて、"赤子の手をひねる"というのは、こういうことやなって思った。

 まあ、自分たちのチームは(累積警告で)伸二が出られへんかったんで、ちょっとみんなナーバスになっていた。けど、シャビとの差はすごく感じたし、(スペインは)伸二がいても『勝つのは難しいやろうな』というぐらいの相手やった」

 選手たちがほぼ戦意を喪失し、なかば結果を受け止めているなか、播戸は最後まで懸命に走り回った。スペインに自由にボールを回され、とても奪える状況ではなかったが、それでも「何とかしよう」と食らいついていた。

「もう勝負はついていたけど、最後まで『(自分が)できることをやろう』とボールを追いかけた。そうしたら、帰国後、(自分の)ホームページにメッセージが届いていたんよ。それは、ファンの方からで『友人のスペイン人が"0-4という状況なのに、あそこまでボールを追いかけるなんて、あいつはすごいな"と言っていた』と書いてあった。