2019.05.27

播戸竜二が語る世界2位。日本には
「小野伸二という『太陽』がいた」

  • 佐藤 俊●取材・構成 text by Sato Shun
  • 甲斐啓二郎●撮影 photo by Kai Keijiro

 結果、日本は決勝まで勝ち進んでいくのだが、最初に大きな"壁"となったのは、決勝トーナメント1回戦のポルトガル戦だった。

 播戸は、ポルトガルには「絶対に負けたくなかった」と言う。それは、ホテルでの出来事が引き金になっていた。

「ポルトガルとは同じホテルだった。食事会場に行くと、俺らのテーブルにあったのは、うどんみたいなパスタと、鶏のささみにブロッコリーとニンジンとか......。トルシエ監督は『これ食って、勝たないといかんのや!』って言うんやけど、俺たちは『マジかよ!?』って思った。

 で、ポルトガルの食事を見てみると、大きなブロックの生ハムを切って、美味しそうに食べていた。それを見て『おい、あいつらには絶対に負けんとこーぜ』って、みんな、燃えたね」

 勇んで挑んだポルトガル戦は、播戸にとって、最も印象に残っている試合だという。

 この試合、後半早々に日本が先制するが、その後、ポルトガルのGKが負傷退場。交代枠を使い切っていたポルトガルはフィールドプレーヤーがGKとなり、ひとり少ない10人で戦うはめになった。そこから、ポルトガルの反撃が俄然強まって、後半35分に同点ゴールを奪われ、試合は延長戦に突入した。

 延長戦を前にして、トルシエ監督は播戸を呼んでピッチに投入した。

「点を取ってこい」

 トルシエ監督の檄を受け、ピッチに立つと、延長後半にチャンスが巡ってきた。小野からのスルーパスが、裏に抜けた播戸の足もとにピタリと収まったのだ。

「これ、チャンスやん」

 ドリブルからペナルティーエリア内に侵入し、左足でシュートを放った。

「これ、決まったらVゴールやん。俺、ヒーローやん」

 そんな思いが頭をかすめたが、播戸のシュートは"素人GK"の正面に飛んで、まんまとキャッチされてしまった。

「あの時、『これで、俺も終わったな』と思ったね。弾くとかじゃなくて、素人のGKに完璧にキャッチされたんで......。

 その後、PK戦になって蹴りたい選手が挙手したんやけど、5人目がなかなか決まらんかった。誰もいかないんで、俺がいかなあかんかなって思ったけど、素人のGKにシュートを止められて、PKまで止められたら、ホンマにヤバイなって思って、当時19歳の俺はちょっとビビってしまった。『あ~、ホンマに自分は弱いなぁ』って思ったね」