久保建英のU-20W杯招集見送りは、本当に彼のためになるのか (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 松岡健三郎●撮影 photo by Matsuoka Kenzaburo

 しかも、コパ・アメリカに出場するA代表メンバーはまだ発表されておらず、U-20代表メンバー発表の席上でも、彼ら3人が選外となった理由については曖昧にされている。要するに、A代表も含めた年代別代表のメンバー選考について、日本協会の方針が明確に示されないままなのである。

 キャプテンのMF齊藤未月(湘南ベルマーレ)が、「ここに選ばれたメンバーが、ベストメンバーだと思っている」と語るように、選手たちは一様に、外れた選手については多くを口にしない。というより、そうとしか言いようがないのが実際のところだろう。

 本来外れるはずのない選手が、なぜ外れたのか。せめて、その理由くらいは、(報道等で何となく既成事実化するのではなく)公の場ではっきりさせておくべきだったのではないかと思う。

 もちろん、言うまでもないことだが、選手に責任はない。正直、モヤモヤした印象が残るチーム編成となったが、選ばれたメンバーで最高の戦いをしてほしいと望むばかりだ。

 さまざまな理由により、本来なら主力となるはずの選手を何人も欠くことになったU-20代表だが、その結果、2000年生まれの選手、つまり、2年前のU-17ワールドカップを経験している選手が7人も名を連ねることになった。これはU-20ワールドカップに出場するチームの登録メンバーとしては、過去最多の数である。

 まだ今年19歳の彼らは、誰もが所属クラブで出場機会を得られているわけではない。Jリーグでの経験では、安部や久保、橋岡らには及ばない。だが、世界大会の雰囲気を知る選手がこれだけいることは、若いチームにとって心強い。そのひとりである宮代は、17歳で経験した2年前の大会を振り返り、「あの大会に出ていたイングランドの選手は、すでに(ヨーロッパのクラブの)トップチームで試合に出ているし、意識するところが変わった」と言い、こう語る。

「U-17ワールドカップの時に悔しい思いをしている。その経験はポジティブな面がある」

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