久保建英のU-20W杯招集見送りは、本当に彼のためになるのか (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 松岡健三郎●撮影 photo by Matsuoka Kenzaburo

 前述の流経大との練習試合にしても、行なわれたのは月曜日だったのだが、もし週末のJリーグに出場している選手がもっと多ければ、この試合が組まれることはなかったはずである(実際、週末の試合に出場した7選手は、この試合に出場していない)。つまりは、登録メンバーのなかに、所属クラブで試合に出ていない選手が多かったため、練習試合が必要だったとも言えるわけだ。

 もちろん、その一方で、DF鈴木冬一(湘南ベルマーレ)のように、高卒ルーキーながらJ1の舞台で急成長を見せている選手もいるが、チーム全体として見れば、やや小粒になった印象は否めない。

 それにしても、なぜ大迫、安部、久保の3選手をA代表へ引き上げることになったのだろうか。ケガや所属クラブで出場機会を失うことについては、当然起こりうるリスクだとしても、この判断には、率直に言って、疑問を感じる。

 一般論として、上のカテゴリーを優先するという考え方に異論はない。A代表に足る実力がある選手であれば、年齢だけを理由で、U-20代表に留めておくことはない。

 だが、今回の場合はどうだろうか。

 南米王者を決めるコパ・アメリカは、日本にとっては大陸選手権ではなく、あくまでも招待出場。そのため、FIFAの規定上、選手を招集するにあたっての拘束力がなく、ベストメンバーを編成することはほぼ不可能だった。

 加えて、大会期間中はJリーグも通常どおりに開催されるため、Jクラブの協力も思うようには得られない。そんな状況で編成されるチームなのだから、名目上はともかく、実質的にはA代表とは言えないメンバー構成になるのは間違いない。

 有り体に言えば、コパ・アメリカに出るために組まれるチームだ。

 だとすれば、いろんな意味でより本気度の高い大会、すなわち、20歳以下の選手たちが長い間、そこを目標にし、日々のモチベーションにしてきた大会への出場を優先してもよかった、いや、すべきだったのではないだろうか。

 U-20ワールドカップで勝ち上がるために、彼らを残すべきだった、と言いたいのではない。むしろ、彼らの成長のためにどちらが有意義なのか、という話である。

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