2011年、なでしこのW杯初優勝が世界のサッカースタイルを変えた (2ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

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 対戦相手は、懸命にドリブルでボールを持ち上がっても、スッポリと体が覆われてしまう巨大な壁にしか見えなかったドイツ、常にヨーロッパでトップを君臨していたスウェーデン、コンタクトプレーで吹っ飛ばされるのを目の当たりにする度、唖然とするしかなかったアメリカ......。

 彼女たちから勝利をもぎ取るためのピースを探すのは、難題だった。そんなチームが、この大会では粘りを見せ、倒れても倒れても起き上がってボールに食らいついた。

 こうした姿に共鳴するのは日本人特有の美的感覚だと思っていたが、大会が進むにつれ、開催国のドイツの観客が、なでしこのプレーに魅せられていく様を目の当たりにして、固定概念を根本から覆された。それが妙に心地よく感じたことを今でもハッキリと思い出せる。

 彼女たちの2011年の活躍は、世界中に衝撃を与えた。"なでしこジャパン"が、日本のみならず世界でも通じる名称となったことには、今でも驚いている。けれど、最も影響を与えたのはそのサッカースタイルだった。

 しっかりと組織立てられたパスサッカーをベースに、連動した動きでプレスをかけながら、カバーリングでフィジカルの差を埋めていく。2011年を境に、なでしこが示したスタイルを取り入れる国は確実に増えた。とくにアメリカはいち早く着手していたし、アジアにおいても、日本にできるなら自分たちにもできるはずだと、同じスタイルの戦い方をしてくるチームが増えた。

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