2019.04.22

黄金世代・氏家英行が「小野伸二は
違う世界の人間」と思ったワケ

  • 佐藤 俊●取材・構成 text by Sato Shun
  • 甲斐啓二郎●撮影 photo by Kai Keijiro

 たとえば、大会中に日本から持ってきたシャンプーがなくなった時、頭を洗うのが面倒くさくなったこともあるのだが、彼らはチームをさらに盛り上げるために、丸刈りにした。氏家も最初は抵抗があったものの、加地や稲本潤一らが頭を丸めていくなかで、盛り上げ役に徹することを決意していた立場上、自分がやらないわけにもいかず、高原のバリカンを借りて頭を剃った。

「丸刈りになって、まぁいろいろとイジられましたけど、(自分は)あんまり彼らのイジりに気がついていなかった。みんな、明るく楽しく過ごせていたので、それはそれでよかったです」

チームの盛り上げ役に徹した氏家(写真右)photo by Yanagawa Go そうした氏家の、チームを明るくサポートし、練習では手を抜かずにレギュラー組を支えた姿勢が、トルシエ監督の目に留まったのだろう。決勝戦の朝、散歩をしているときに、氏家はトルシエ監督から声をかけられた。

「ウジ、(試合に出る)準備はできているか」

 氏家は「まさか、ここで!?」と思ったという。

「何を根拠に俺を(試合に)出そうと思ったのか、今も謎ですけど、さすがにびっくりしました。なんで、いきなり決勝に。もっと早く出せる機会があったでしょって」

 決勝までの試合においても、氏家は出場を打診された場面があったという。

「アメリカ戦で、試合の途中に(トルシエ監督から)いきなり呼ばれて、『おまえ、どこで出たい』って聞かれたんですよ。その意味がわからず、『どこで出たいって、どういうことですか?』って聞いたんです。『もう1点取りにいくならFWをしますし、守るなら守備に徹しますので、それは監督が決めてください』って。でも結局、そのときは出なかったんですけどね」