2019.04.14

トルシエのモノマネも。20年前、
加地亮の行動はすべてチームのために

  • 佐藤 俊●取材・構成 text by Sato Shun
  • 説田浩之●撮影 photo by Setsuda Hiroyuki

 そんな「サブ組」の献身は、試合や練習の時だけにとどまらなかった。播戸や加地らは、試合や練習前のちょっとした時間にもトルシエ監督のモノマネをやったりしてチームを盛り上げた。決勝トーナメントに入ると、一段と気合いを入れるために、頭を丸刈りにした。

「丸刈りにしたのは、なんでやろうね。ノリというか、若さやね。(チームをさらに盛り上げるために)『なんかやろうー』と思って、タカ(高原直泰)のバリカンを借りてやった。

 一体感じゃないけど、たぶんそういうのを出そうと思って、自分たちなりに考えてやったんやと思う。それで、みんなで『やろうや』って言ったけど、伸二は拒否って、モトは『頭の形が悪いからやらん』って頑なやったね(笑)」

 もともと丸刈りだった高原をはじめ、加地、氏家、辻本、稲本潤一、中田浩二らが次々にバリカンで頭を丸めていった。

 そしてウルグアイ戦――、ベンチに控える"丸刈り軍団"から「加地、やれよ!」と熱い声援が飛んだ。

 加地は、彼らの後押しを得て奮闘。出場直後のオーバーラップで息が上がったものの、以降は体を張った守備で勝利に貢献し、チームは決勝進出を果たした。

「とりあえず、ホッとした。俺が出て負けたら、シャレにならんもんね」

 加地にとっては、グループリーグのアメリカ戦、イングランド戦に続く3試合目の出場だったが、試合後の充実感は、出場時間が少なかったそれまでの2戦とは明らかに違った。ようやく、「勝利に貢献できた」という手応えを感じられた。

 しかし、加地がこのワールドユースで一番印象に残っている試合は、このウルグアイ戦でも、決勝のスペイン戦でもなかった。同じく控え組だった石川竜也が途中出場し、FKを決めたイングランド戦だと言う。