辻本茂輝が驚愕。世界2位になった「黄金世代」は何がすごかったのか (2ページ目)

  • 佐藤 俊●取材・構成 text by Sato Shun
  • 説田浩之●撮影 photo by Setsuda Hiroyuki

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"フラット3"は、チームを指揮するフィリップ・トルシエ監督が志向する独自の戦術であり、日本人には馴染みのないスタイルである。しかも中田は、大会直前のフランス合宿から"フラット3"を実践する最終ラインに入ったばかり。一緒に練習したのは、本番のカメルーン戦までの2週間程度しかなかったのだ。

「(3人で)一緒にやる時間が足りなかった。だから大会に入る前は、どこが相手でも『やられへん』といった、そこまでの自信はなかった。(カメルーン戦では)初戦のプレッシャーもあったし、アフリカのチームとはそれ以前にやったことがあって、長い足が伸びてくるし、スピードもフィジカルもすごかったから、"フラット3"も含めて、いろいろな意味で『どうなるんかなぁ......』という不安がありました」

 その不安がカメルーン戦では的中した。そして、国際大会では失ってはいけない大事な初戦を落としたのである。

 遡(さかのぼ)れば、辻本はワールドユースへの出場権をかけたアジア予選の際は、1次予選、最終予選ともに代表メンバーから外れていた。しかし、A代表と兼任でトルシエ監督がU-20代表も指揮することになると、本番2カ月前のフランス&ブルキナファソ遠征からメンバーに招集され、代表入りを決めた。

「(海外遠征には)ここが『最後のチャンスや』と思ったし、『絶対に生き残る』という気持ちで臨んだ。ただ、自分は他の選手と比べて、止める、蹴るといった基本的な技術が劣っていたんです。とくに(小野)伸二を見て、その違いを余計に感じていた。

『じゃあ、自分はどこで勝負すんねん』って、ずっと考えていました。結局、自分のストロングポイントである空中戦や対人での強さで勝負していくしかないな、と思いました」

 辻本は小学生の時までは、大きな体を生かしてGKとしてプレーし、中学生になって、フィールドプレーヤーに転向した。DFとなって、どういうわけか、毎日ヘディングの練習ばかりやらされていたという。それが、その後の空中戦の強さにつながっていった。

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