なでしこ、フランスに惨敗。
リヨン所属の熊谷紗希だからこそわかること

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 試合後、ピッチではチームメイトたちとにこやかに健闘を称え合ってはいたものの、よく知る仲間だからこそ最高の対戦にできなかった悔しさは誰よりも深いはずだ。

 絶大な存在感を放った熊谷に触発されるように力を発揮していたのが、センターバックで熊谷と初コンビを組んだ南萌華(浦和レッズレディース)だ。フランスの攻撃陣をまともに受け続けた南は、「強烈でした......」ともらした。

 サンドバック状態にさらされた日本の最終ラインだったが、徐々に空中戦でも競り合えるようになり、さらには地上戦でも相手のスピードを吸収しながら攻撃の芽を摘むコツを見つけたようだった。フランス相手の90分間、通常では考えられないほど攻め込まれる状況で、彼女は確かな成長を見せた。

 先月のアメリカ遠征では、熊谷が途中からインフルエンザで離脱してしまったため、ほとんど一緒にプレーすることは叶わなかった。しかし今回、世界屈指のフランスの攻撃陣から浴びた20本を超すシュートも、そこまでに持ち込ませなかったプレーも含めて、2人で止めた場面は数えきれなかった。「初コンビ」としては十分な手応えを掴めたと言える内容であり、数少ないながらも今回のフランス戦での収穫だった。

 ワールドカップ本大会前のフランスという優勝候補との対戦で、結果だけを求めていたわけではないはずだが、この段階で露呈した課題はあまりにも大きい。次の対戦国であるドイツも、このフランスと互角に戦う強豪である。次戦、なでしこジャパンはどう立て直してくるだろうか。

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