森保J「大迫の代わりがいない」以外の新たな課題が明らかになった (2ページ目)

  • 津金壱郎●構成 text by Tsugane Ichiro
  • photo by Fujita Masato

 一方の鎌田はボリビア戦で先発起用されたが、相手がゴール前にベタ引きする戦い方をしたこともあって、彼の持ち味であるDFラインの裏への抜け出しが発揮できる展開にならなかった。ただ、随所に光るプレーを見せてくれた。

 中盤に引いてボールを受けるにしても、プレーは丁寧で視野を確保できるボールの持ち方ができており、狭い局面でもいい判断と高い技術力をしっかり発揮していた。個人的には、彼を2列目で起用したらどうなるか見てみたい。

 大迫ほどのポストプレーができる選手はすぐに現れるものではない以上、日本代表は1トップにこだわらない戦い方をしてもいいだろう。もちろん、対戦相手や試合展開に応じてということだが、鎌田や南野拓実(ザルツブルク)を『偽9番』として起用して、ポジションを入れ替えながら攻撃を組み立てる「ゼロトップ」的な方法を模索することも考えてもいい。

 また、攻撃で存在感を示したのが中島なら、守備では冨安健洋(シント・トロイデン)が圧倒的な存在になりつつある。今回は、W杯ロシア大会を戦った昌子源(トゥールーズ)以上に落ち着きが感じられた。高さを含めた体の強さがあって、フィード能力も高い冨安が、日本代表の守備陣の中軸になる日も遠くないだろう。

 CBでは、J1リーグでの出場数が昨季5試合、今季4試合というなかで抜擢された畠中槙之輔(横浜F・マリノス)がボリビア戦で先発出場した。縦にパスをつけられるフィード能力の高さに特長があって、1対1も強く、高さもあってヘディングも強い。その能力がさらにレベルの高い相手に通用するのか、次も呼んでもらいたい選手だ。

 初招集組では、安西幸輝(鹿島アントラーズ)もまた見たいと思わせるプレーをしてくれた。守備では球際の強さがあったし、攻撃でも持ち味のエネルギッシュで推進力のあるプレーが見られた。ただ、先発したボリビア戦に関して言えば、タッチライン沿いを何度も崩していたが、引いて守る相手に対して、中央へ斜めに走り込む動きが足りなかった。それができることで相手守備が混乱するため、次回はそこにも期待したい。

 新しい選手を試す一方、香川真司(ベジクタシュ)や山口蛍(ヴィッセル神戸)、宇佐美貴史(デュッセルドルフ)らW杯ロシア大会メンバーも森保体制が発足してから初めて招集された。ただ、対戦相手の実力を考えれば、中盤2列目はコロンビア戦で先発した中島、南野、堂安律(フローニンゲン)が、森保一監督にとって現時点でのファーストチョイスということなのだろう。

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