香川真司、森保Jでほろ苦デビュー。いま必要なことは? (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko photo by Fujita Masato

 何が違うのかといえば、布陣だ。昨季後半のドルトムントは4-3-3で、香川は中盤の3枚に入ることが多かった。中盤でプレーすることで、自身がしゃにむにゴール前に入るのではなく、前線の3枚を生かす意識が強くなる。中盤3枚のうち1枚は守備的な選手が入るから、そこまで守備に強く意識を割く必要もない。味方のスピードを生かすことができた。

 ひたすら縦に一辺倒の速いサッカーのなかで、香川のような、キープ力があって時間を作れる中盤の選手が重要になるということは、むしろ香川不在の試合で実感することができた。香川自身がゴール前に入る回数は少なくなるが、それはもう仕方のないことだと納得できるポジションだった。

 香川がドイツで頭角を現した頃は、細かいドリブルでスピード感たっぷりに相手守備陣を切り裂き、シュートで終わるプレーが真骨頂だった。時には遠目から思い切りのいいシュートも見せていた。

 ところがボリビア戦でトップ下に入った香川は、そんなプレーを見せるわけでもなく、ただ中盤の低い位置でのボール回しに終始することになった。初めて一緒にプレーする若い選手たちのなかで苦戦するのもわかるが、周囲を凌駕する圧倒的な経験を見せることもできなかった。

 年齢を重ねていくなかで、プレースタイルが変化していくのは自然なことだろう。かつて攻撃的MFだった長谷部誠(フランクフルト)だって、今やリベロでプレーしている。

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