中島翔哉のゴールの起点に。橋本拳人は長谷部の後継者の資格あり (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Kishimoto Tsutomu/PICSPORT

 この点は、橋本にも通じる。JリーグでGK以外、ほとんどのポジションを経験。ユーティリティの高さは出色だ。

 2人は、たとえるならオーケストラの指揮者に近い。あらゆる楽器に通じることで、それぞれの特性をも生かせるというのか。それは小手先のうまさではない。

<周りを生かす>

 そのプレーを極めることができたら、橋本は長谷部の後継者となるだろう。まずは、ロシアW杯のメンバーに選ばれ、アジアカップも戦った遠藤航(シント・トロイデン)との争いになる。

 一方、課題は明確だった。香川真司、乾貴士らW杯メンバーとは、まだ意思の疎通が薄い。ボールをつけても、戻ってこない場面が目についた。

「まだ信頼されていないですね」

 橋本は率直に言って、現状を冷静に見据えている。

「最初から好きなようにやらせてもらえるとは思っていません。少しずつ、自分のプレーを認めてもらえるように、まずは守備のところで、たくさんボールを奪い返す。そこでアピールしたいですね。(鎌田)大地に入った縦パスとかはよかったので、その本数をひとつでも多くすることで、信頼を得られるかもしれません。(FC東京でチームメイトだった)翔哉が(途中交代で)入ってからは、ボールを預けられるし、預けてもくれたので、形を作れました」

 橋本は90分間、ピッチに立っている。交代枠は6人で、攻撃的な選手が次々と投入されるなかで、最後まで残った。そして監督の期待に応える形で、守備から攻撃を作り出し、1-0の勝利に貢献した。

「あっという間に終わりました。楽しかったです!」

 そう言って笑顔を見せた橋本は、長谷部の後継者レースに、堂々と名乗りを上げた。

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る