昌子源、フランスでの経験を生かす。ファルカオの突破を何度も阻止 (2ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 ただ、かじ取り役としては物足りなさが残った。鋭いクサビを打ち込んで、自らも果敢に前に飛び出していくアジアカップの主軸メンバー、遠藤航(シント・トロイデン)を超えるインパクトを放てたとは言えないだろう。

 一方、昌子はラダメル・ファルカオに自由を与えず、落ち着いたビルドアップや高精度のフィードで味方を走らせるなど、まずまずのパフォーマンスを見せた。

 だが、タックルのミスからピンチを招いたり、相手の高速突破に振り切られるなど、マイナスな印象を与えたのも事実。この日はPKを献上したとはいえ、対人プレーで引けを取らずに空中戦でも強さを発揮した、冨安健洋(シント・トロイデン)を上回る出来を示せたとは言い難かった。

 もちろん、森保体制立ち上げからリスト入りし、アジアカップでは1カ月以上もともに活動したメンバーたちと、戦術練習もそこそこにコロンビア戦を迎えた山口と昌子を比較するのは難しい。この日のパフォーマンスだけで評価を下すのは早計だろう。その状況を踏まえれば、今後への望みをつなぐ最低限のプレーを見せられたのではないか。

 両者はともに、この冬に環境を変えている。山口はセレッソ大阪からヴィッセル神戸へ、昌子は鹿島アントラーズからフランスのトゥールーズへと籍を移した。

 環境の変化が成長をうながすケースはけっして少なくなく、その意味でふたりには伸びしろがある(ともに25歳を越えてはいるが)。クラブの戦いでたくましさを増せば、日本代表に変化をもたらせる存在になり得る可能性を秘めているのだ。山口がプレーするボランチも、昌子の主戦場であるCBも、まだ絶対的な存在が備わっていないだけに、彼らが今後主軸となることも十分に考えられる。

 久しぶりに日本代表のユニフォームをまとった昌子は、「今日は久々に緊張しましたね。感慨深いものはありましたし、やっぱりいい場所だなと感じました」と、日本代表であることの喜びを改めて噛みしめていた。

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る