森保J「出たとこ勝負」攻撃の限界。
コロンビアとの差は埋まってない

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki 佐野美樹●写真 photo by Sano Miki

 今回、アジアカップに出場したメンバーをそのまま選ばなかった森保監督の選択は、そうした意味で評価できる。まだ足りないぐらいだと尻を叩きたくなるが、番狂わせを狙うのなら、それ以上に必要なのが監督の力量だ。

 コロンビア戦で30対70の関係を作り出している最大の要因は、選手個人のポテンシャルだろう。だが、監督にその差を埋める采配ができていたかと言えば、ノーだ。むしろコロンビアのほうが、そのエッセンスを取り入れたくなるいいサッカーをしていた。選手のポテンシャルに任せるサッカーをしていたのは、むしろ森保ジャパンのほうだった。

 ピッチを大きく使った展開力に富むパスサッカー。コロンビアのサッカーをひと言で言えばそうなる。出たとこ勝負。選手の即興的なプレーに頼りがちな日本に対し、コロンビアは、計画性の高い計算されたサッカーをした。

 たとえば前半4分、いきなりバー直撃弾に見舞われたシーンだ。ハメス・ロドリゲス(4-2-3-1の3の中央)から送られたボールをルイス・ムリエル(3の左)が折り返し、逆サイドのセバスティアン・ビジャ(3の右)がシュートを放つ――という展開力を、日本に期待することは難しい。

 日本に置き換えれば、ハメスは南野拓実(ザルツブルク)で、ムリエルは中島翔哉(アル・ドゥハイル)、ビジャは堂安律(フローニンゲン)になる。しかし、日本期待の3人組にこの美しいパスワークは望めない。追求している様子は見られないし、実際これまでに一度も見たことがないからだ。これほど高い確率で得点が望めそうなパターンは他にないというのに、である。

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