黄金世代の南雄太は、トルシエ監督についてキングカズと語り合った (2ページ目)

  • 佐藤 俊●取材・構成 text by Sato Shun
  • 甲斐啓二郎●撮影 photo by Kai Keijiro

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「ベテランの選手になると、我慢したり、大人の振る舞いができたりするかもしれないですけど、19、20歳の若い選手というのは、試合に出られないと、腐ってしまったり、(チームが)勝っても素直に喜べなかったり、そういうのがあると思うんです。

 でも、あのチームのサブの選手たちはそういうことが一切なくて、常にチームを盛り上げてくれた。当時、僕はプロ入り2年目だったんですが、このチームで初めて一体感というか、"チーム"というものを実感することができました」

 このサブ組の姿勢こそ、チームがひとつになるために不可欠な要素だと、南は強く感じた。無論、強い一体感を生むには、必要な要素はまだいくつかあった。

「あのチームはファミリー感がすごく強かったけど、(選手同士が)単に仲がよかっただけじゃない。お互いが"いいライバル"と意識して、それぞれが競争し、刺激し合えていたのも大きかったと思います。

 また、"vs(フィリップ・)トルシエ監督"という部分でも、みんなが団結していた。毎日怒られて、胸ぐらをつかまれたり、ボールをぶつけられたりしたけど、『あいつには負けない』という反骨心がみんなにあって、チームはひとつになれたと思います」

 そう南が語るように、トルシエ監督の存在はこのチームにとって、非常に大きかった。トルシエ監督はあらゆることを駆使して、チームに緊張感を与え続けていたという。

「たとえば、選手交代において(トルシエ監督は)思い切った采配を見せるんですが、途中から出てきたイシくん(石川竜也)がいきなりFKのゴールを決めたり、準決勝で途中出場した加地(亮)が相手を抑えてチームの勝利に貢献したりした。

 途中出場の選手が活躍するとチームは盛り上がるし、同時にチーム内には緊張感が生まれる。普通は勝っているとメンバーをいじらない監督が多いけど、トルシエ監督はうまく選手を起用して、マンネリ化させず、常にチームに刺激を与えていました。そういうやり方が、本当にうまいなって思いました」

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