2019.03.09

小野伸二にとって「歴代代表監督の中で
トップ」はトルシエだった

  • 佐藤 俊●取材・構成 text by Sato Shun
  • 甲斐啓二郎●撮影 photo by Kai Keijiro

 まあ、トルシエ監督の性格を知れば、愛情を持って自分たちに厳しいことを言ってくれたんだ、というのはわかりますからね。僕は、トルシエ監督があのときの若い自分たちにすごく合っていたと思います。いろいろな監督のもとでやってきましたが、僕にとっては、歴代代表監督の中ではトップですね」

トルシエ監督について語った小野 トルシエ監督が、当時の日本の若きタレントたちに示したのは、サッカーだけではない。大会期間中、わざわざ現地の孤児院まで行って、その国の現実などを目の当たりにさせ、選手たちに自らがいる立場や現状について考えさせた。

「トルシエ監督は”世界を知る”という意味で、孤児院にも連れていってくれた。ただサッカーをやるだけじゃない。自分たちがどれほど裕福な環境でサッカーをやっているのか、ということを教えてくれた」

 孤児院に到着し、小野ら選手たちは、最初はやや戸惑いを隠せずにいたが、しばらくして慣れてくると、笑顔で子どもたちを抱き上げて、ふれあいの時間を過ごした。そして、選手間で集めたお金を孤児院への支援として寄付した。

 選手たちを孤児院に連れていくことで、トルシエ監督は「プロのアスリートは、積極的に社会貢献活動をする模範となるべきだ」という姿勢を示したのだ。

 そのトルシエ監督に率いられたチームは、メキシコに勝って一段と一体感が増していた。ついにベスト8の壁を破って、準決勝に進出。ブラジルを破って勝ち上がってきたウルグアイと対戦した。