なでしこで絶好調のレフティー。
籾木結花の順応性は希少で貴重だ

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

「右サイドであの角度だと右足で打つことが多かったのが、左利きなんだから左で打とうと(トレーニングしていたから)このときも内側を見ながら入っていけた」と言う籾木。そのゴールは左足での見事なループシュートだった。籾木は後半の小林里歌子、長谷川唯(ともに日テレ・ベレーザ)の追加点もアシストし、ここまで2戦2ゴール2アシストと絶好調だ。

 籾木は、攻撃の起点になるものから決定機を演出するものまで、自在なパスを送り出すと同時に、自らゴールも生む。そのプレーは、スタメンでも、限られた時間の交代出場でも可能だ。このメンタルの順応性は稀であり、貴重なものだ。

 こうした能力は、もともとの性分もあるだろうが、所属するチームやなでしこジャパンが大きく変わろうとしているタイミングでケガを負い、ピッチから離れる経験をしたことも影響しているだろう。

「ケガの時は、ベンチ外で試合に出ない立場を経験しました。ベンチ外の選手の気持ちやベンチの選手が、試合に出ている選手をどう見ているのかを感じた。自分がどうすればチームがよくなるかと考えられるのは、ケガをしていた時期に自分を客観的に見ることができるようになったからだと思います」。

 その視野の広さはプレーにも表れている。ブラジル戦では、籾木がマッチアップする相手は攻撃型であるがゆえにプレスも速く、籾木への食いつきがよかった。ならば、うまく自分に食いつかせれば裏にスペースが生まれる。そこを他の誰かが使うことができればチャンスはやってくる。

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