阪口夢穂はなでしこの心臓部。
ケガから復帰→W杯まで試合勘を戻せるか

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 FIFA女子ワールドカップフランス大会まであと4カ月――まだオフ中のチームもあるなか、なでしこジャパンが早々に始動した。

 1月31日から5日間、若手選手を盛り込んだ総勢27名の大所帯でスタートした候補合宿。昨年世界一を経験したU-20世代や、なでしこジャパン入りを目指すなでしこチャレンジプロジェクトから引き上げられた若手が伸び伸びとアピールする姿が見られたピッチに、高倉麻子監督自ら"心臓部"と語っていた阪口夢穂(日テレ・ベレーザ)が立っていた。

9カ月ぶりになでしこに戻ってきた阪口夢穂(中央)9カ月ぶりになでしこに戻ってきた阪口夢穂(中央) 昨年4月、AFC女子アジアカップで優勝をもぎ取った直後のリーグ戦で阪口は右膝前十字靭帯と内側半月板を損傷し、長期離脱を余儀なくされた。年末に大阪で行なわれた皇后杯決勝で、本人曰く「ふるさと枠(大阪出身)」でのラスト数分間だけ公式戦に出場したが、なでしこジャパンとしては約9カ月ぶりの復帰となった。

 今シーズンは始動が早い旨を選手たちに事前に通達していたこともあり、オフ明けにしては選手たちのコンディションは悪くなく、高さとスピードをリクエストしていた男子大学生とのかなりシビアな合同トレーニングも敢行することができた。こうしたフィジカルにハンデのある相手との9対9は、当然ワンサイドゲームになる。力を均等に分散させた3グループは各3本を戦ううちに、なでしこの強みである"修正力"を見せてパワー攻撃を抑えこめるようになっていた。

 その3本目に効果的な攻撃でフィニッシュにつなげた形を複数回見せたのが、阪口のチームだった。男子選手の強い当たりを事前にうまくいなしながら、常に味方の間に顔を出す阪口ならではの絶妙なポジショニングは健在。この時期でここまで動けるまでに体を戻すには、相当のリハビリを重ねたことが容易に想像できる。

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