スペインの知将がアジア杯の大迫を絶賛。「日本の戦術を動かしていた」 (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 エチャリはそう言って、大迫のプレーを絶賛した。後半22分にも、日本は敵陣でボールを奪ってから、大迫がポストになって南野を走らせ、2点目となるPKを奪い取っている。

「大迫は試合を通じて、左サイドを中心に深みを作った。チームの戦術を動かしていたと言えるだろう。2点目もそのひとつから生まれたもので、大迫のパスを受けて左サイドを駆け上がった南野が折り返したクロスは相手のハンドの判定。そこで得たPKを、大迫が右足で落ち着いてGKの左に蹴り込んだ。

 イランが攻撃に比重をかけてきたが、日本は落ち着いてプレースタイルをシフト。中央をしっかり固めながら、サイド攻撃に対してもカバーに入って、守備の強度を高めた。分厚い守りで攻撃を受け止めつつ、中央部で何度もボールを奪い、効果的なカウンターを仕掛けている。試合の流れのなかで適切に戦い方を変える、インテリジェンスを感じさせた。

 日本は守備の比重を高めたものの、守っていただけではない。鋭いカウンターを何度も発動した。ただし、4対2の状況になりながらシュートまでいけなかったことは、課題とするべきだろう。ラストパスの選択を誤っている。

 後半アディショナルタイム、守備面でも献身的だった原口元気(ハノーファー)が、最後は南野のパスを受けて左サイドを駆け抜け、鮮やかなシュートでGKを抜いている。精度の高いシュートで、この日の最後を飾るのにふさわしいフィニッシュだった」

 そう述べたエチャリは、準決勝までの日本の戦いをこう総括している。

「日本は大会を通じて、ファイナリストにふさわしい戦いを見せてきた。カタールは難しい相手だが、日本はチームとしての成熟を見せている」
(つづく)

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