スペインの目利きがアジア杯の日本に
警鐘。「安易な中央攻めが多い」

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Fujita Masato

 しかし、チームとしては高いポゼッション率を示しながらも、いたずらに中央からの攻めに固執する姿が目についた。インサイドからの攻めに固執するのは危険だろう。容易に崩せないだけでなく、カウンターを浴びる可能性があった」

 エチャリは繰り返し、警鐘を鳴らしている。

「後半も、試合の形勢は変わっていない。日本が攻め、ベトナムが守りながらカウンターを狙う。その均衡のまま、時間が過ぎている。

 日本の攻撃自体は悪くないが、やはりボールより前に人が多すぎた。一度、冨安健洋(スント・トロインデン)がボールを運んで的陣に入ったとき、後ろには吉田と権田修一(ポルティモネンセ)しかいない場面があった。失点のリスクを重く考えるべきだろう。

 後半12分、堂安がゴール前で相手に足をかけられて転倒。主審は流したが、VARでPKとなった。これを堂安自身が左足でゴールに蹴り込んだ。

 先制できたことはよかったが、その後も日本は大勢がボールより前でプレーしていた。すばらしいコンビネーションもあったとはいえ、これほど危険を冒すべきだったか。北川、南野とつないで、長友がオフサイドになったシーンは悪くなかったが......」

 エチャリ曰く、日本は攻守のバランスを失っていた。だが、後半27分に北川を下げて大迫勇也(ブレーメン)を入れることで「戦術的には好転した」と言う。

「大迫は相手を背負ったプレーができる。彼が時間、空間を作って、日本はプレーが落ち着いた。コンビネーションの起点になって、攻撃の渦が生まれた。堂安、南野の動きも改善されている。

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