スペイン人指導者のアジア杯総括。「サウジ戦の守備は称賛に値する」 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Fujita Masato

 しかし、日本がラインを下げ、ブロックを作って守る形を選択したことで、必然的にこぼれ球を拾われてしまい、守勢に回った。ただし、自ら選んだ戦い方だけに、焦りは見えない。10人のフィールドプレーヤーが常にお互いをカバーするポジションを取って、ボールホルダーに対しては整然とプレスをかけている。パスの受け手の背後を常にとって、自由にさせなかった。

 集中的なリトリート戦術は功を奏していた。

 課題を挙げるなら、分厚い守備から相手の攻撃をカットし、カウンターに入るところで、フィニッシュまで行く機会が乏しかった点だろう。カウンターの精度を高める必要がある。もっとも、日本がCKから決めた得点は、カウンター攻撃がゴールラインを出たところからつながっているのだが......」

 エチャリはそう言って、前半20分の冨安健洋(シント・トロイデン)の先制点を冷静に分析している。

「左サイドで原口元気(ハノーファー)がボールを収め、折り返したクロスがディフェンスに当たって、ラインを割った。すでにこれまで書いてきたように、柴崎岳(ヘタフェ)が蹴るボールの質は高い。必然的にチャンスにつながった。

 ゴール前では、吉田麻也(サウサンプトン)、冨安の2人がディフェンスを攪乱する動きを見せている。冨安は軽く前に出る動きを見せてから、狡猾にマーカーの背後を取った。準備の面で先手を取っていたと言えるだろう。

 セットプレーからの得点だったが、チームとしての意図が見えた。連係も技術の高さも出た先制点だった。

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