スペイン人指導者のアジア杯総括。
「サウジ戦の守備は称賛に値する」

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Fujita Masato

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「多くの犠牲を払い、力を尽くし、もぎ取った勝利と言えるだろう。チームとして規律正しくプレーし続け、守備のバランスを失わなかった。集中力が切れず、その点は称賛に値する」

 スペイン人指導者、ミケル・エチャリ(72歳)は、アジアカップ、ラウンド16でサウジアラビアとの激戦を1-0で制した日本について、こう振り返っている。

 エチャリは、「バスクフットボールの父」と言われている。レアル・ソシエダで20年間、さまざまな役職に就いただけでなく、アラベスでは強化部長を務め、エイバルでは2シーズン監督として指揮を執っている。そしてフアン・マヌエル(ファンマ)・リージョ(ヴィッセル神戸)、ウナイ・エメリ(アーセナル)、ガイスカ・ガリターノ(アスレティック・ビルバオ)ら、多くの指導者に影響を与えている。

 そのエチャリは、"守り切って"勝ったサウジ戦をどのように評価したのだろうか?

サウジアラビア戦で先制ゴールを決めた冨安健洋サウジアラビア戦で先制ゴールを決めた冨安健洋「日本は4-2-3-1を採用。もっとも、守備のときには4-4-2になる。受け身に回ったことで、後者の時間帯が必然的に増えた。

 一方のサウジアラビアは4-3-3だが、プレーヤーのキャラクターを考えると、4-1-4-1とするべきだったかもしれない。パスコンビネーションに優れ、練度も高く、ポゼッション力で日本を完全に上回った。ボール保持率は75%以上で、"サウジが攻め、日本が守る"という形で終始した。もっとも、彼らの枠内シュートはたった1本、日本は2本で、その差が最後に出るのだが......。

 どちらのチームも、GKが基本的につながず、ロングキックを蹴っていた。リスクを避け、プレッシングを回避。結果として、センターバックとセンターフォワードの争いになったが、ここで大きな差は出ていない。

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