スペインの戦術家がアジア杯で指摘。勝ち試合にもあった日本の問題点 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Sano Miki

 日本はパスを用い、コンビネーションを使って攻める。彼ららしい戦いだった。ボランチの青山敏弘(サンフレッチェ広島)が配球役として質の高さを見せ、伊東純也(ゲンク)、室屋成(FC東京)の右サイドは脅威を与えていた。

 もっとも、プレーのテンポは全体的にやや遅い。リトリートし、ブロックを作って守るウズベキスタンを崩し切れず、ラストプレーの精度も低かった。空中戦でも、アンカーに入ったオタベク・シュクロフには分が悪かった。

 ただ、日本は試合を支配していた。それだけに、一瞬の隙が生まれてしまったのが悔やまれる」

 前半40分の日本の失点に関して、エチャリは独自の見解を見せている。

「左サイドで与えたスローイン。一番近くにいた乾貴士(アラベス)は、スローワーに気をとられすぎている。スローインに対し、一番近くにいる選手は、常に投げる選手と自分の背後を確認していなければならない。背後を取られる、というのは味方にとって非常に危険なプレーになるからだ。

 実際、乾が背後を簡単に取られたことで、左サイドバックの佐々木翔(サンフレッチェ広島)が慌てて飛び出してしまう。それによって、さらにその背後にスペースが生まれ、絶好のパスが出されることになった。そこからはショムロドフの独壇場だった。並走していた槙野智章(浦和レッズ)はスピードで置き去りにされ、なす術がなかった。

 厳しいことを言っているかもしれない。しかし、トップレベルでは、こうした細部がしばしば勝負を決める。ロシアワールドカップのベルギー戦における最後のCKの選択がそうだったように、だ。日本はショートコーナーの対応でも、前半、後手に回って混乱する場面があった」

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