カタールに完敗した理由は明らか。単に森保ジャパンが下手を打った (4ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 吉田が「取られてはいけなかった」と悔やむ、2失点目のシーンが、「ハマらないプレス」を象徴する。

 まずはハーフウェーライン付近でMFアシム・マディボが、フリーでボールを保持。そこへ、これまたフリーのFWアクラム・アフィフが近づき、パスを受けると、ドリブルで前進し、単独突破をちらつかせながら、ペナルティーエリアの右角付近で待つMFアブデルアジズ・ハティムへパス。日本は守備の人数が十分にそろっていたにもかかわらず、冨安が言う「(DFラインの)背後」を警戒するあまり、アフィフとの距離も、ハティムとの距離も詰められず、ズルズルと後退してしまう。最後は、ハティムとの間合いが空いたことが致命傷になり、余裕を持って左足から放たれたシュートが、ゴール左スミのネットを揺らした。吉田が振り返る。

「1失点に抑えて、後半に巻き返す形を作らなければいけなかった。(準決勝で対戦した)イランもそうだが、(カタールは)後半必ず(動きが)落ちてくる。後半勝負になるというのは理解していたが、そのためには、前半にいいパフォーマンスを見せないといけない。そこがうまくいかなかったことが、すべてを狂わせてしまった」

 森保一監督は今大会中、苦戦が続いていたにもかかわらず、「対応力」や「修正力」という言葉を用い、「対戦相手や試合の流れに応じて、考えながら意思統一して、チームで連係・連動しながら試合を進められている」と、あくまでもポジティブにチームを評価していた。

 だが、言い換えれば、そもそも内容がよくないから苦しい試合になっていたのである。内容が悪いなりに勝つ試合がひとつくらいはあってもいいが、毎試合のように繰り返されれば、いずれボロが出るのも無理はない。

 対応力や修正力を強みにしていたはずのチームから、最後の最後で「柔軟に対応できなかった」や「臨機応変さが足りなかった」の言葉を聞くことになるとは、何とも皮肉な結末だった。

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