カタールに完敗した理由は明らか。
単に森保ジャパンが下手を打った

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 この試合で今大会初めてカタールを見た人の目には、3年後のワールドカップ開催国がものすごく強いチームに映ったかもしれない。

 日本は、2大会ぶり5度目の優勝がかかったアジアカップ決勝で、カタールに1-3で敗れた。

 先制点がいくらかの幸運とともにカタールに転がり込んだことも手伝って、前半は終始カタールが主導権を握って2得点。後半は一転、日本が猛攻に出たが、遅きに失した感は否めない。準決勝までの6試合で無失点のカタールが築く堅陣を前に、日本は1点を返すのが精一杯。その後、カタールに3点目を奪われ、万事休した。

 はっきり言って、完敗である。

 日本には、初めてA代表で国際大会に臨む若い選手も多く、経験不足ゆえ、いかに昨年の親善試合の内容がよかったといっても、真剣勝負の今大会ではどこかで脆さを露呈するだろうとは、想像できた。実際、20歳のDF冨安健洋(シント・トロイデン)は「(相手の出方に応じて対応を)変えようと思っても、簡単に変えられるものでもない。経験も必要だし、そこに気づいて変えられるだけの余裕がある選手がどれだけいたか。正直、僕にはそれだけの余裕はなかった」と、話している。

 決勝の相手カタールは、ワールドカップ出場経験こそないが、自国開催の2022年ワールドカップへ向け、着実に育成・強化の成果を挙げている国である。日本が負けること自体に不思議はない。予想の範囲内ではある。

 それでも、これほどの完敗を喫するとは、正直、想像していなかった。

 キャプテンのDF吉田麻也(サウサンプトン)が、「(準決勝の)イラン戦ですごくいいパフォーマンスを出して、この流れで(決勝も)イケるだろうという油断やスキみたいなものを、僕自身がチームのなかで少し感じていたのにもかかわらず、それを律することができなくて、勝ちに導くことができなかった。自分自身がすごく不甲斐ない」と話していたが、選手たちにとっても、イラン戦こそが最大のヤマ場であり、つまり、カタールの実力はその程度の見立てだったということだ。

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