イラン戦は森保Jのベストマッチ。スコアとは裏腹な内容を検証した

  • 中山淳●文 text by Nakayama Atsushi 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 通算5度目のアジア制覇を目指す日本が、その一歩手前の準決勝で、今大会でもっとも高いハードルと目された強豪イランと対戦し、3-0で勝利を収めた。大方の予想ではイラン優勢と見られていただけに、ここまで低調な試合を続けていた森保ジャパンにとっては望外の大勝利と言っていいだろう。

イランに快勝して決勝進出を決めた日本代表イランに快勝して決勝進出を決めた日本代表

 ただ、この試合を改めて振り返ってみると、3-0というスコアとは裏腹な試合内容が浮かび上がってくる。たしかに日本にとっては今大会のベストマッチであることは間違いないが、それでも日本が相当に苦しい戦いを強いられていたことも事実であり、とくにイランを上回っていたわけではなかったというのが実態だ。

 試合を検証するときはある程度の「たられば」は避けて通れないが、仮にその視点に立ってみると、日本の先制点につながった後半56分のワンプレーが試合に与えた影響は計り知れないものがあったことがわかる。あのワンプレーがなければ、試合はどう転がっていたのか。

 多くの事象と数々のスタッツを見てみると、ほぼ互角だった試合を3-0にまでその差を広げた最大の要因は、そのワンプレーに突き当たる。逆に言えば、それ以外に原因を見つけ出す方が難しいという試合でもあった。

 いずれにしても、大きな勝利で決勝に駒を進めたことを称賛する一方で、今後の森保ジャパンの成長過程を見るうえでは、満足いく形で勝った試合だからこそ、その勝因がどこにあったのかを掘り下げてみる必要はあるだろう。

 まず、この試合のイランは左ウイングの17番(タレミ)が出場停止だったため、準々決勝の中国戦からスタメン1枚を変更し、通常の4-3-3を採用した。17番に代わって左ウイングで起用されたのは、その中国戦で出場停止だった11番(アミリ)。代表ではMFでプレーするものの、本職が左ウイングであることを考えると順当なセレクトと言える。

 対する日本は、大迫勇也(ブレーメン)が初戦以来のスタメンに復帰したことで、ようやく指揮官が考えるベストメンバーで臨むことができた。すでにラウンド16進出を決めていたグループリーグ3戦目で、イランがローテーションを使わなかったことを考えると、ウズベキスタン戦をBチームで戦った日本の方が疲労面で優位にあったと見ることもできる。

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