アジア最強のイランにも穴はある。大迫勇也の復帰で2列目は輝くか (3ページ目)

  • 飯尾篤史●取材・文 text by Iio Atsushi
  • photo by AFLO

 日本にとって朗報なのは、右臀部痛だった大迫勇也(ブレーメン)にスタメン起用の目処が立ったことだ。準々決勝のベトナム戦の72分から試運転を済ませ、満を持してスタメンに復帰する。

「間違いなくバリエーションが増える」と長友佑都(ガラタサライ)が言えば、「困った時にボールをキープして収められる、時間を作ってくれる選手」と吉田麻也(サウサンプトン)もエースの復帰を歓迎する。

 そもそも武藤嘉紀(ニューカッスル・ユナイテッド)や北川航也(清水エスパルス)が"周りに生かされる"タイプであるのに対し、大迫は"周りを生かす"タイプ。大迫にボールが入ることで、2列目の選手たちがコンビネーションを発揮したり、前線に飛び出したりすることができる。

「彼のところですごく収まるので、僕らは出ていける。逆にあそこでタメがないと、僕らもなかなか出ていけない」と原口が言うように、大迫の復帰によって2列目が輝き始める可能性が高い。

 1992年以降、日本はイランと8回対戦していて、結果は日本の3勝2分2敗。決着のついた5試合はすべて1点差のゲームだったが、今回も1点を争う接戦になるのは確かだろう。その1点をもぎ取るために、あるいは勝負を決める2点目を奪うために、ポストプレーはもちろん、セットプレーにおいても大迫の存在は心強い。

 イラン戦前日、原口は過去何大会かの準決勝、決勝の映像を見てイメージを膨らませたという。そこには開催国のカタール、宿敵・韓国、そしてオーストラリアをなぎ倒し、「アジアのバルサ」と讃えられた2011年大会のザックジャパンの映像もあった。

 だが、本田圭佑(メルボルン・ビクトリー)や香川真司(ドルトムント)を擁し、日本の強さを知らしめたあの大会でも、韓国との準決勝はPK戦までもつれ込み、決勝も延長戦へと突入したのだ。

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