ベトナムにシュート数で劣った森保J。苦戦の原因は敵の健闘ではない (4ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki 佐野美樹●写真 photo by Sano Miki

 センターフォワードの北川は、いったい何度ボールに絡んだのだろうか。1トップ下で構える南野とのコンビネーションの悪さも問題だが、CFはチームの中心だ。CFを中心にゲームが回っているチームは強いと言われるが、森保ジャパンはその反対なのだ。あらゆるポジションの中で、CFの存在感が最も希薄なサッカーをしている。

 疎外されていると言うべきか、入り込もうとしていないのか。サウジ戦で先発した武藤嘉紀(ニューカッスル)にもあてはまる問題だが、チームで一番偉くなくてはいけない人が、一番偉くないチーム構成に問題がある。

 ただし、真っ先に選手を責める気にはなれない。スタメンはこの日も「Aチーム」だった。中2日で行なわれた試合にもかかわらず、前戦から武藤(累積警告)と北川が入れ替わっただけ。調子の上がらない選手、休ませたほうが得策に見える選手を使い続け、さらに状態を悪化させているという印象だ。

 森保監督は試合後こう述べた。「トレーニングできない状況だったので」。

 言葉足らずで、本当にわかりにくいのだけれど、中2日で、新しい選手を入れて練習している時間がなかったから、変えなかったと言うことらしい。監督に向いているとはいえない思考法だろう。

 その一方で、こうも語った。

「チームとしての経験値がこれでまたひとつ上がった」

 前戦、サウジ戦の後はこうも述べていた。

「チームとして守り切るというオプションが増えた」

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