半端ない大迫の抜けた穴。試合を重ねるごとに酷くなる森保Jの内容 (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 それにしても、なぜこんなことになってしまったのだろうか。森保一監督就任以降、新生・日本代表は、昨年行なわれた親善試合で、何度も痛快な攻撃を見せてきた。にもかかわらず、そんな生き生きとした姿は、今では見る影もない。

 もちろん、原因はひとつではないだろう。たとえば、疲労。今大会5試合のうち、4試合をほぼ同じメンバーで戦い続け、しかもベトナム戦は、サウジアラビア戦からわずかに中2日である。累積警告で出場停止のFW武藤嘉紀がFW北川航也に代わった以外、まったく同じメンバーで臨むなど、本当に優勝する気があるなら考えられない。疲労の蓄積から、選手のパフォーマンスが低下するのは当然のことだ。

 しかし、メンバーの固定化については、これを取り上げ出すと、毎試合同じ話をしなければならなくなるので、ひとまず大会が終わるまでは脇に置いておく。

 とすれば、いの一番に思い当たるのは、やはりFW大迫勇也の不在だ。

「明確な攻撃のパターン、これっていうものはまだ出来上がっていないと思う。でも、逆に言えば、みんながうまく流動的に動けているときは、自然とボールも回るし、そういった状況を作っていきたいとは思っている」

 そう話してくれたのは、ビルドアップの起点となるセンターバックのDF冨安健洋だが、彼の言う「流動性」の中心にいたのが、大迫なのだろう。

 確実にボールを収めてくれる大迫を基準点にして、周囲の選手は自分がどう動けばいいのかを判断できた。つまりは、大迫がいることで、チーム全体が「同じ絵を描く」ことができていたわけだ。

 半端ない大迫は、その穴の大きさも半端ない。個人的には、今大会の日本代表を見るうえで、「大迫不在時の戦い」をひとつのテーマとしていたのだが、そこにメドが立つどころか、穴の大きさが際立つ試合内容に終始している。

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