2軍で1.5軍のウズベキスタンに勝利。森保采配にまだ太鼓判は押せない (2ページ目)

  • 中山淳●文 text by Nakayama Atsushi photo by Sano Miki

 また、ウズベキスタンを率いるエクトル・クーペル監督も、2戦目のトルクメニスタン戦からスタメン5人を入れ替えていた。GK、センターバック2枚、アンカー、2列目センター1枚、そして1トップを継続して起用し、両サイドの4枚と2列目センター1枚を変更。根幹を成すセンターラインをそのままにして、比較的年齢の高いサイドの選手を温存して、ターンオーバーを採用している。

 果たして、試合前に両チームの指揮官が勝利を目指すことを公言していた試合は、お互いどこまで本気で勝利を意識して戦ったのかが極めて微妙な試合となった。すでにグループリーグ突破を決めているチーム同士の対戦なので当然ではあるが、控えメンバーだけでスタメンを編成した日本の方が、勝敗のリスクよりも主力選手の休養に重きを置いて戦ったと言っていいだろう。

 2軍の日本が、1.5軍のウズベキスタンと戦った試合。両チームのスタメンの編成上、この試合の構図としてはそうなるが、そもそも1軍対1軍の両チームの力関係からすれば、ほぼ互角の対戦と言っていい。実際、試合内容は拮抗したものになった。

 ウズベキスタンのシステムは、それまでの2試合と同じ4-1-4-1。この試合の性質上、特別な日本対策を図った形跡は見受けられなかった。

 日本のセンターバックがボールを保持したときの基本的な守備方法としては、前から行かずに2列目の左センターを務める22番シディコフと、1トップの14番ショムロドフが日本のダブルボランチをケア。今大会初出場となったジュビロ磐田所属の18番ムサエフは、シディコフと対の関係になるようにアンカーの横まで下がって中央へのパスコースを塞ぐ形をとった。

 ボールを奪った後は1トップへのロングボールを使って縦に速い攻撃を見せ、控え選手だったこともあってか両サイドバックのオーバーラップはほとんどなし。基本的に、両ウイング、1トップ、そして2列目シディコフの4人で攻めるプレーモデルだった。1.5軍の相手がノーマルな戦い方をしてくれたことで、サブ組だけでメンバー編成をしていた日本が救われた部分は多い。

 この日、慣れないボランチでプレーした塩谷司(アルアイン)を含め、乾貴士(ベティス)、そしてオマーン戦で途中出場していた武藤嘉紀(ニューカッスル)は、いずれも森保ジャパン初招集かつ負傷者が出たことで追加招集された選手。たしかに最終ラインの4人は昨年9月11日コスタリカ戦の先発メンバーだったものの、ほとんどぶっつけ本番で挑んだチームにとって、この試合のウズベキスタンは戦いやすい相手だった言える。

 とはいえ、日本は立ち上がりからペースをつかんだものの、開始から15分間で効果的な縦パスは14分に三浦弦太(ガンバ大阪)が中央の北川に入れ、ダイレクトで伊東純也(柏レイソル)を狙ったパスのみ。攻撃のスイッチ役を担うべき青山敏弘(サンフレッチェ広島)のパスミスが目立ったことと、受け手となる乾、伊東、武藤、北川らのポジショニングが相手の守備ブロックとかぶってしまったこともパスがつながらない要因になっていた。

2 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る