「全取っ替え」でよくなった日本代表。だが、西野Jと同じ轍を踏むな (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki 佐野美樹●写真 photo by Sano Miki

 1戦目、2戦目は限られた選手で戦い、3戦目を過去2戦にあまり関わっていない選手で臨む。そして4戦目で、再び1、2戦のメンバーに戻して戦ったのは、ロシアW杯の西野朗監督だ。その時コーチだった森保現監督が同じ轍を踏もうとしているのだとすれば、次につながらない試合になる。

 3戦目と4戦目をどう融合させるか。関係性を持たせるか。もし、4戦目でスタメンを元に戻せば、続く5戦目で再び、彼らはエネルギー切れを起こす。6戦目(準決勝)は、どうするつもりなのか。またサブで戦うのか。

 森保ジャパンは西野ジャパンとは異なり、優勝を狙っている。同じやり方では7試合目は戦えない。

 見習うべきは敗れたウズベキスタンの指揮官、エクトル・クーペルの戦い方だ。バレンシアを2シーズン連続(99-00、00-01シーズン)でチャンピオンズリーグ決勝まで導いたアルゼンチン人監督は、今回のアジアカップでメンバーを毎試合、少しずついじっている。

 後半20分、ドストンベク・ハムダモフに代わりピッチに姿を現したアジスベク・トゥルグンボエフは、フィールドプレーヤー20人の中で、19人目に出場した選手となった。3戦を終えて出場していない選手は、来季からJ2レノファ山口でプレーするドストンベック・トゥルスノフただひとりとなった。

 あるいはトゥルスノフは故障中なのかもしれないが、それはともかく、数的には、20人全員を使った森保采配と、19人を使ったクーペル采配とは拮抗した関係にある。だが、森保采配がAかBの二択であるのに対し、クーペル采配は漸次的だ。グラデーションが掛かっているかのように、前後の関連性が見て取れる采配だ。4戦目(オーストラリア戦)に誰がスタメン出場を飾っても、不思議のない状態にある。

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