不安材料が残ったオマーン戦。森保Jの攻撃が停滞した原因はひとつだけ

  • 中山淳●文 text by Nakayama Atsushi photo by Sano Miki

 果たして、長丁場の大会の初戦で1枚しか交代カードを使わなかった森保監督の真意はどこにあるのか? 初戦で負傷明けの大迫をフル出場させたことについて「もう少し展開に余裕があれば代えていた」と答えたことが森保監督の本心だとすれば、レギュラー陣以外の選手に対する信頼度が極めて低いことを意味することになる。

 口では「総力戦」と言いながら、実は早くもスタメンと控えを明確に分けて考えているのか。決勝トーナメントの最大4試合を考えたとき、さすがに限られたメンバーだけでは息切れしてしまうと考えるのが自然だ。とくに消耗が激しい現代サッカーでは、そこがネックになる可能性は高い。

 いずれにしても、大迫が万全であれば当然スタメン出場を果たしていたはずなので、北川以外のこの試合のスタメンが、森保監督が現時点で描くベストメンバーであることはほぼ間違いなさそうだ。

 一方、オランダ人監督ピム・ファーベーク率いるオマーンも、初戦のウズベキスタン戦から2枚を変更。4-2-3-1のトップ下が10番アル・ハルディから日本戦では20番ヤハヤエイに代わり、1トップも7番アル・ハジリから16番ムフセン・ガサニに代わっている。

 4-2-3-1同士の対戦となったこの試合だが、序盤からチャンスを作ったのは日本だった。開始早々2分に堂安律(フローニンゲン)の突破から原口元気(ハノーファー)が放ったシュートはバーに弾かれて決定機を逸する格好となったが、その後も日本は立て続けにビックチャンスを作ることに成功している。

 ただしそれらのチャンスは、初戦のトルクメニスタン戦もしくは過去の国内親善試合とは異なる攻撃パターンによって構築されていた。

 初戦の相手トルクメニスタンは、低く構えた5バックが、1トップの大迫、トップ下の南野拓実(ザルツブルク)、さらには中間ポジションをとる堂安と原口をマーク。2列目の4枚は、攻撃の起点となる日本のダブルボランチ、サイドで高い位置をとる酒井宏樹(マルセイユ)と長友佑都(ガラタサライ)をそれぞれケアして、前線に入ってくる縦パスをつぶすのが主な日本対策だった。

 実際、前半の日本はその策にハマってしまい、無理して縦パスを入れてはカットされ、そこから何度かカウンターを食らうという展開に持ち込まれている。

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