アジアカップで露呈した森保Jの弱点。トルクメニスタンに苦戦の理由 (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by Kishimoto Tsutomu/PICSPORT

 大迫勇也の下で構える南野も、真ん中攻撃の渦中に飲み込まれた。人が密集するエリアで活躍するためには、リオネル・メッシばりの圧倒的な個人技が求められるが、南野にそこまでの技量はない。堂安同様、全体図が見えていない視野の狭さも目に付いた。非効率的なサッカーを象徴する選手に見えたのだ。

 堂安に話を戻せば、右サイドバック(SB)の酒井宏樹と絡む機会がほぼゼロだった。ボールを受けるのは、右というより中央付近。そこで強引なプレーに終始した。読まれやすい動きとはこのことだ。

 左利きの選手が右でプレーする場合、たとえば中村俊輔や本田圭佑がそうだったように、縦へのアクションを苦手にすることが多い。堂安もそのひとりで、そうした意味で新鮮味がないのだ。

 大会前、テレビのプレビュー番組に出演した堂安は、目標とする選手はモハメド・サラー(エジプト代表/リバプール)だと語っていた。しかし、サラーは右ウイングの位置でボールを受け、そこから縦に抜いていくことができる。

 印象深いのは、12月に行なわれたチャンピオンズリーグのナポリ戦だ。サラーは、対峙するナポリのカリドゥ・クリバリを前後のフェイントで翻弄。タイミングをずらして縦へ抜け、ゴールライン際からマイナスの折り返しを送る雰囲気を見せながら、そのままゴールへと蹴り込んだ決勝点のシーンである。

 だが、堂安にはこのプレーが期待できないのだ。プレーの幅が狭く、選択肢は限られている。まだ20歳なので、伸びシロはあると思いたいが、絶対的な引き出しの数は現状、少なそうである。ともすると順風満帆に見えるその将来だが、越えなければならない壁は確実に存在する。

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