看過できない点がある。森保Jのアジア杯初戦は、まれに見る酷い試合 (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 ところが、今回の場合、日本とは5時間の時差があり、東京より約15度も気温が高い現地へ日本から直接入ったのが、大会初戦の1週間前。しかも、登録メンバー発表後に負傷者が続出したこともあって、メンバー全員がそろったのは、初戦のわずか数日前だ。これでは、環境への順化がやっとで、チームとしての戦い方のベースすら浸透させるのは難しい。大会が進むなかで徐々にギアを上げていく、というのが、実際のところだろう。

「自分たちが、本当にこの試合にかける決意と覚悟を持って臨んだのか。自問自答しなければいけない」

 吉田は試合後、厳しい表情でそう話していたが、その責任を選手だけに負わせるのは、酷というものだ。

「コンディションは今日(初戦)がピークとは思わない。スタッフも練習量を制限してくれている。2試合、3試合目と、どんどんよくならないといけない」

 吉田が話すように、当然、これから先は試合内容がよくなっていくという前提のうえでの評価ではあるが、最大7試合を戦わなければならない大会の初戦としては、勝ったことでよしとすべき試合だろう。

 ただし、試合内容にはある程度目をつぶったうえでなお、ひとつだけ看過できない点がある。3-1になってからの試合運びだ。

 前半は、トルクメニスタンの組織的な守備に苦しんだ日本だったが、後半に入ると、焦りが生じる暇もなく、早い時間(56分、60分)にFW大迫勇也の2ゴールで逆転に成功。71分にもMF堂安律が追加点を奪い、リードを広げた。日本はこの時点でミッションコンプリート。あとは何も起こさず、試合を終わらせるだけだった。

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