自分のことを誰も知らない土地に移籍。三好康児には覚悟がある (4ページ目)

  • 飯尾篤史●取材・文 text by Iio Atsushi
  • 高橋茂夫●撮影 photo by Takahashi Shigeo, AFLO

―― では、今シーズンを振り返ってみて、自分にとって大きな意味があったと感じるゲームは?

三好 うーん......鳥栖戦ですかね。点が獲れたっていうのが一番。

―― ようやく。

三好 90分を通していいプレーをした感覚はないんですけど、結果を残せたことで気持ちがすごく楽になりました。どんなにいいプレーをしても、点が獲れなかったら意味ないなって常に思っていたので、もう本当に、点が獲れたということで、今年のターニングポイントだったと思います。

―― 「どんなにいいプレーをしても、点が獲れなかったら意味がない」というほどのゴールへの意欲は昔から? それとも、プロになってから?

三好 プロになってからですね。ユースのころはとくに考えなくても点が獲れていた、というのもありますけど、プロになって前線で起用されたとき、そこでアピールするのが一番だなって。

―― ドリブルもうまいし、パスも出せるから、チャンスメイクへの美学もあるのかなと思っていましたが。

三好 結局、ゴールになりましたね。周りからも得点やアシストについて言われることも多いですし。

―― 話を初ゴールに戻すと、気持ちが楽になったというのは、ジェイ選手への抱きつき方ですごく感じました。

三好 そうですね(笑)。あれは最高にうれしかったですね。

―― ターンもすばらしかったけど、右手で相手をブロックしたのもうまかった。あのゴールをあらためて振り返って、自分のどんなよさが出たと?

三好 どんな状況でも、ターンして前を向けるのは自分の強み。あそこはボールが来る前から、入れてくれれば前を向けると思っていて、来い、来い、と念じていたら、ジェイが出してくれた。あとは自分の得意な左に持っていって、自然にシュートに持ち込みました。

―― 相手は日本代表GKの権田修一選手でした。彼からゴールを奪ったのも自信になったのでは?

三好 ただ、あそこまで近づけば、さすがに俺でも外さないだろうって(笑)。中途半端な位置からシュートを打つより、あそこまでドリブルして打てばいいんだって。

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