前園真聖は確信。西野さんはアトランタ五輪の悔しさを忘れてなかった (6ページ目)

  • 佐藤 俊●取材・文 text by Sato Shun
  • 甲斐啓二郎●撮影 photo by Kai Keijiro


今では「マイアミの奇跡」の恩恵を、素直に受け入れている前園真聖今では「マイアミの奇跡」の恩恵を、素直に受け入れている前園真聖 2018年ロシアW杯では、前園は解説者として引っ張りだこだった。アトランタ五輪で西野監督とともに戦ったキャプテンとして、日本代表の指揮官としてW杯に臨む西野監督の思考や戦い方などを、1996年当時を振り返りながら解説していたのだ。

「西野さんは当時から、『"マイアミの奇跡"のことばかり言われるけど、ハンガリー戦で最後に試合をひっくり返して勝って終わったことも、もっと評価されるべきだ』と言っていた。西野さんは、ブラジルもハンガリーも関係ない。勝たないといけない試合で勝つことの難しさ、勝つために最後まであきらめない姿勢が大事だ、ということを言いたかったんだと思う。それは、今回のロシアW杯で、西野さんが日本代表を指揮したときにも見られたよね」

 難敵のコロンビアに勝って新たな"奇跡"を起こし、ポーランド戦での、決勝トーナメント進出という"実"を取った戦いを見て、前園は決勝トーナメントに行けなかったアトランタ五輪での悔しさを、西野さんは忘れてはいなかったのだと確信した。

 前園は、アトランタ五輪では満足な戦いができず、自らの弱さもあって、サッカー選手としては次のステージへと駆け上がることができなかった。それでも、西野監督を知る"元キャプテン"としての、ロシアW杯での解説が高い評価を受け、仕事の幅が広がり、"新たなステージ"を迎えることができた。

 アトランタ五輪で悔しい思いをした監督とキャプテンが今、22年のときを経て、リベンジを果たしたのである。

(おわり)

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