28年ぶりの快挙に沸く日本。前園真聖はアトランタ五輪で何を学んだか (4ページ目)

  • 佐藤 俊●取材・文 text by Sato Shun
  • 甲斐啓二郎●撮影 photo by Kai keijiro

「多少は......(苦笑)。自分も代表メンバーに入っていた広島のアジア大会(1994年)のとき、カズさんはいつもメディアに囲まれていた。それを間近で見ていて、カズさんはいろいろなことを言われても、常に冷静に対応していて、すごいなって思っていた。

 アトランタ五輪の頃、俺がカズさんのレベルにいったとは思わないけど、さまざまなことを書かれたり、(メディアなどに)ずっと追い回されたりするのは、こんなにストレスになるんだなって思った。

 それまでは楽しくやってきたのに、いろいろな責任が自分にのしかかってきて、余裕がなくなり、表情がきつくなっていくのは、自分でもわかっていた」

 アトランタ五輪大会期間中の練習後、バスに向かう前園は、目を吊り上げて、(自分に)"話かけないでオーラ"を漂わせていた。記者が話しかけてきても、ほとんど反応せず、ヘッドホンから流れる音楽で耳を塞ぎ、黙ってバスに乗り込んだ。

 攻撃的なサッカーができない悔しさ、自分たちのサッカーではなかった試合の勝利に対する周囲の予想外の高評価、自分が思うようなプレーができない苛立ち......そうした思いばかりが、前園の中でドロドロと渦巻いていた。

アトランタ五輪当時のことを振り返る前園真聖アトランタ五輪当時のことを振り返る前園真聖

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