28年ぶりの快挙に沸く日本。前園真聖はアトランタ五輪で何を学んだか (2ページ目)

  • 佐藤 俊●取材・文 text by Sato Shun
  • 甲斐啓二郎●撮影 photo by Kai keijiro

「(あのときは)ものすごい人に囲まれてストレスを感じたし、窮屈だった。『すばらしい勝利』とか称賛されたけど、まだ決勝トーナメントに行けると決まったわけじゃないし、そもそも個人的にはブラジル戦(の戦い方)は納得していなかったからね。

 自分のプレーがまったくできなかったし、サッカー的に満足できる部分がなかったので、気持ちにも余裕がなかった。プロとしての自覚がないとか、大人げないとかって思われるだろうけど、あのときは本当に『放っておいて』という感じだった」

 前園の口数が減ったのは、アトランタ五輪の本番を迎えてからではなかった。正確には、アジア最終予選で五輪への出場切符を獲得したあと、帰国してからのことだった。

28年ぶりの五輪出場に日本中が沸いたが...。photo by Jun Tsukida/AFLO SPORT28年ぶりの五輪出場に日本中が沸いたが...。photo by Jun Tsukida/AFLO SPORT 28年ぶりの快挙達成に、ある意味、日本中はお祭り騒ぎだった。とりわけ、五輪出場を決めた準決勝のサウジアラビア戦で2ゴールを挙げた前園は、一躍ヒーローとなって、まさしく時の人になった。

「予選から帰ってきたら、世間が変わっていた。日本の盛り上がりがすごくて、びっくりした。だって、それまで俺は、別に注目されている選手ではなかったからね。だから、すごく注目されて、いきなりチヤホヤされて、かなり戸惑った」

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