主力を脅かす新参者はいたか?「固定化」森保ジャパンに必要な競争 (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 その意識を継続して過ごせれば、やれるようになるはず。前回よりは今回(は手応えはあるという)というか。ひとつひとつの経験をエスパルスに帰って伝えて、プレーで示せるように。それでJリーグの価値を上げたい」

 72分だった。北川は中盤からの強めの縦パスを左足フリックで落とし、大迫の得点を完璧にアシストしている。得点はなかったものの、プレーインテリジェンスの高さを示した。ただ、立ち止まることとはできない。

「個人的には満足していません。ゴールがなかったし、チャンスに決められなかった。(本田、香川らが作った)時代を超えていきたい」

 そう語ったのは、北川と同じポジションの南野だった。新たな時代を切り開こうと野心的で、少しも現状に甘んじていない。今後も欧州で日本人としてタフな戦いを続け、そこで得られるカタルシスは桁外れだ。

 率直に言って、欧州でプレーする"主力"が投入された終盤、日本の勢いは確実に増した。攻守両面で、ひとつの形ができつつあるのだろう。あまりの優勢からか、コンビネーションを使わず、単独でつっかけ、失うシーンも見られたが、欧州でプレーする分厚い自信を見せた。

 しかし、やはりJリーグ勢の押し上げがないと、チーム強化は鈍化する。「新ビッグ3」という表現もあるようだが、彼らにしてもビッグクラブに所属しているわけでなく、言葉のみが先走っている印象だ。熾烈な競争こそ、代表に求められるはずだ。

 来年1月のアジアカップが、森保ジャパンの試金石になる。


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