2018.11.19

ベネズエラ戦分析。中盤からの「縦パス」が森保Jのバロメーター

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi スエイシナオヨシ●撮影 photo by Sueishi Naoyoshi

 森保監督がこのような状況を予測して足元の技術に優れるシュミット・ダニエルをスタメンGKに抜擢したのかどうかは定かではないが、少なくとも試合後に「相手に守備を固められてうまく前線にボールを運ぶことができない時に、キーパーを含めたディフェンスラインでボールを動かしながら、ボランチを使って縦パスを入れるという部分は選手たちが何度か見せてくれた」とコメントしていたことを考えると、そのための準備をしていたことだけは間違いなさそうだ。

 実際にそれが奏功し、立ち上がり3分のシーンでも、ボランチの位置まで下がってGKからパスをもらった堂安律(フローニンゲン)が相手のマークをかいくぐって反転し、大迫勇也(ブレーメン)と柴崎を経由して右サイドを突破。その後、カットインしてから中島翔哉(ポルティモネンセ)のシュートにまで漕ぎ着けることに成功している。

 とはいえ、日本がGKへのバックパスで相手のプレスを回避したシーンが前半だけで15回を数えたという点については、さすがに多すぎると言わざるを得ない(後半も含めると23回)。GKからのビルドアップ時にミスが起こり、それがそのまま失点につながるケースは世界のトップレベルの試合でもよく見かけるからだ。

 それを考えると、GKを使うビルドアップは最終手段にとどめ、ボランチのどちらかが機を見てセンターバックの間に落ちる方法も含めて、違ったプレス回避策もしっかり磨いておく必要があるだろう。

 いずれにしても、中島のオープニングシュートできっかけをつかんだ日本は、右サイドで酒井宏樹(マルセイユ)、大迫、堂安、南野拓実(ザルツブルク)の4人が相手のボールホルダーを囲んでボールの即時回収を成功させた4分のシーンなど、10月の2試合で見せていたような展開に持ち込めるかに見えた。

 ところが直後の前半6分、不用意に高い位置をとっていた左サイドバックの佐々木翔(サンフレッチェ広島)の背後に空いたスペースに走った右ウイングのジョン・ムリジョに、アンカーのトマス・リンコンから抜群のロングパスが通った後、最後は右サイドバックのロベルト・ロサレスがクロスを入れたシーンから流れは明らかにベネズエラに傾いた。

 以降、ラインを上げることに慎重になった日本に対してベネズエラのプレスが本格的にハマるようになると、11分にはこの試合最初の決定機がベネズエラに訪れる。結局、この場面ではサロモン・ロンドン(ニューカッスル)のシュートをライン手前ぎりぎりのところで冨安健洋(シント・トロイデン)がスライディングでクリアして事なきを得たが、前半30分あたりまでは攻守両面でベネズエラが優勢となり、その間、日本に訪れた唯一のチャンスは26分に堂安がシュートを外した決定的シーンのみだった。

 この時間帯でとくに目立っていたのが、日本のダブルボランチからの縦パスが完全に封じ込まれていたことだった。たとえば、その時間帯で柴崎が試みた縦パスは3本あったが、そのうち2本がインターセプトされてピンチを招いている。一方の遠藤は0本で、あれだけ効果的な縦パスを供給していたウルグアイ戦と比べると雲泥の差と言っていい。