ベネズエラ戦ドローでほの見えた、森保ジャパン「2つの不安」 (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

 選手のバスが渋滞で遅刻するとは、日本の劣化を象徴する一件とは言えないだろうか。

 それはともかく、日本に訪れた決定機は前半26分だった。右サイドから中島翔哉(ポルティモネンセ)、遠藤航(シント・トロインデン)、南野拓実(ザルツブルク)、大迫勇也(ブレーメン)とつなぎ、最後は堂安律(フローニンゲン)が右足シュートを放ったが、精度をわずかに欠き、ポスト脇に外れていく。

 いまや日本の売りとなった前線の4人(中島、堂安、大迫、南野)は、この頃になると、身体が温まったのか、次第に本領を発揮し始めるようになる。前半31分には吉田麻也(サウサンプトン)の縦パスから南野が大迫に惜しいラストパスを送れば、34分には中島がGKと1対1になるシーンを作った。

 日本の先制ゴールは前半39分。右から中島が蹴ったFKを酒井宏樹(マルセイユ)が蹴り込んだセットプレーによるものだが、ゲームの流れは日本に傾いていた。必然性の高いゴールと言えた。

 しかしこの日、日本が挙げたゴールはこの1点のみ。前線の4人はその後も期待どおり見せ場を作った。魅力を振りまき、渋滞でスタジアム入りが遅れることになった大分のファンを喜ばせた。

 この4人は4-3で勝利した前戦、ウルグアイ戦に続いてのスタメンだった。GKダニエル・シュミット、CB冨安以外の9人がそうだった。森保監督はテストより、勝ちに比重を置いて戦ったわけだ。

 ウルグアイ戦では選手交代が6人できるにもかかわらず、2人に終わった。サブに与えられた時間は、のべ27分(追加タイム4分含む)。ウルグアイ代表のオスカール・タバレス監督の174分(同4分含む)と比較すれば、その差は歴然としていた。交代枠6人を使い切り、テストという命題をこなしながら敗れたウルグアイに対し、森保ジャパンは、それを怠り4-3で勝利した。大喜びすべきではない勝利とはこのことである。

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