高倉監督にも手応え。なでしこジャパンの変化は着実に実を結んでいる (3ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 実際に、ゲーム中はそれを試みていた三浦。正直、ノルウェーは球際も含めて戦いやすい相手だっただけに、この程度のレベルで向上の猶予がなくてはなでしこの中盤は務まらない。その点も三浦はすでに実感していた。

「もちろんスピードに関して強化はしていきたい。でも判断スピードも含めてほかにも工夫する余地はあると思います」と心強い言葉を残した。

 そんな三浦が「うまい」とその力を認めるのが長野だ。後半は「ひとつ飛ばしてボールをつなげる」という監督の指示が功を奏してサイド攻撃がハマっていたため、始めはフリーでありながらボールはまったくと言っていいほど長野に出てこなかった。ボールに触れなければ、彼女のよさは出てこない。それでも長野はいつでもカバーリングに入れるように、いつでも攻撃を担えるようにと、フリーランを止めることはなかった。

 ラスト10分に差し掛かり、ようやく長野にボールが入るようになると、相手を背負いながらでも韓国で鍛えた対応力でボールをキープ。セットプレイでもニアサイドからゴールを狙うなど、随所でそのポテンシャルの高さを披露した。ただ、練習では三浦とともに長谷川の自由な動きにも柔軟に対応し、フレキシブルな動きを見せていただけに、さらなる高いレベルのプレイを期待してしまう。なでしこジャパンの中盤のレベルは世界でもトップクラスと言っていいだろう。

「U-17、U-20とワールドカップを獲って、あとはなでしこジャパンで獲るだけ」と、FIFA U-20女子ワールドカップMVPの長野の目標はブレない。その言葉通り、長野がポジション争いに入ってくることは間違いないだろう。

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