森保監督の志向を代表に呼ばれなくなった選手の顔ぶれから読み解く (5ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by Fujita Masato

 当選する人がいる一方で、落選する人もいるのが選考。サッカーの代表選手選考の場合は、それが監督の胸ひとつで決まる。本来、微妙な立場にいる選手が当選し、招集されてもおかしくない選手が落選する。そんな理屈を越えた現実を見せられると、サッカー監督の力の凄まじさをあらためて実感させられる。優しそうな顔をしていても、代表監督は恐ろしい存在なのである。

 ロシアW杯の最終選考で落選した若手3人、三竿健斗(鹿島アントラーズ)、浅野拓磨(ハノーファー)、井手口陽介(グロイター・フュルト)の中で、その後、コンスタントに呼ばれ続けているのは三竿だけだ。

 同様に、ロシアW杯メンバーから惜しくも漏れた杉本健勇(セレッソ大阪)は、9月のメンバーには選ばれていた。しかし、その機会をケガで棒に振ると、2回目、3回目は招集外になった。最近のJリーグでは3試合連続スタメンを飾っているが、代表レースでは、その間に北川航也(清水エスパルス)、鈴木優磨に先を越された印象がある。

 前回招集されたにもかかわらず、故障で辞退した浅野についても同じことが言える。ケガで休めば、その穴を埋めるべくそれなりの実力者が容赦なく現れる。代表レースはまさに椅子取りゲームだ。

 現在、椅子を奪取している選手は誰で、奪われた状態にあるのは誰か。また、新たにその獲得を目指している新人、若手は誰か。目を注ぐべきは、むしろ現在、椅子に座っていない選手。落選中の選手を探ることで、代表選考レースの全体像は見えてくる。

 現状、アタッカー陣は激戦、守備陣は手薄に見える。代表選考レースは今後、どう推移していくのか。森保監督の取捨選択が見ものである。

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