ベレーザが4連覇達成。優勝したのに選手の自己評価は「20点」だった (2ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 しかし、前半終了間際に同点にされると、後半はカウンターを食らう場面もしばしば。このアップダウンで徐々に体力を消耗していく時間帯に決勝弾は生まれた。右サイドからのクロスにニアサイドで長谷川が合わせたシュートはGKに弾かれるも、自ら拾って小林里歌子につなぎ、中へ入れたボールを田中がスルーして、その先にいた籾木結花が決めた。

 得点だけを振り返れば、相手の隙を突いた長谷川のゴールも、混雑するペナルティエリア内で互いの動きを掌握して生まれた決勝ゴールも、歓喜に値するゴールだった。ただ、それ以外の時間帯が選手たちにとって納得できる展開ではなかったのだ。

 今シーズンのベレーザが取り組んでいるのは、選手たち自身が「誰もやっていない唯一のサッカー」を表現するというもの。システムこそ4-1-4-1だが、それに加えて止まらない動きが要求される。攻撃では中央に吸収されるように、選手の距離が近くなったかと思えば、すぐさまサイドへ散らしたりと、ピッチ上でまるでポンプのように圧縮膨張を繰り返す。それをテンポのいいパスと、的確なポジショニングでつないでいくのだから、全員のイメージの共有が強固でならなければ、ゴールにはつながらない。

 さらに、ひとつのポジションの仕事だけをこなしていればいいということは、このサッカーではあり得ない。たとえばサイドバック。縦へのビルドアップで、攻撃参加でも十分アクティブな印象を与えるが、ベレーザのサイドバックは中に入り込むスイッチを持っていなければ務まらない。

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