中村憲剛、守田英正を語る。「僚太とふたりで日本代表のボランチを」 (5ページ目)

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

―― その直後に守田選手は日本代表に追加招集。言葉をかけるタイミングも絶妙ですが、アドバイスも含めて、まるでコーチみたいですよね(笑)。

中村 教える意味ではコーチかもしれません(笑)。それにもう、僕は(1列)下がる気はありませんからね。そのためならば、コーチングも惜しみません(笑)。でも、ゆくゆくは、僚太と守田のふたりが日本代表でダブルボランチを形成する存在になってほしいとも思っているんです。それがまた、自分の夢でもありますから。

―― 自分の夢を後輩に託す。どうして、そこまで自分が培(つちか)ってきたものを惜しみなく還元できるのですか?

中村 それは、自分がずっとこのクラブでプレーしてきた生え抜きだからというのがあるのと、フロンターレを強くしたい。ただ、それだけです。僚太は高卒だったこともあり、多少時間がかかりましたけど、独り立ちして、ワールドカップのメンバーに選ばれるまでになった。そうしたらまた新しい選手がやってきて、それをまた僚太が教えながら、次の世代が育っていく。

 それがクラブとしての新陳代謝であり、世代交代でもあると思うんですよね。僕らがいる間に、僕らの背中を見て、次の世代が育っていく。きっと、そこをぶった切ってしまうと、チームのサイクルは難しくなってしまう。だから今、フロンターレはすごくいいサイクルを迎えているんじゃないかと思うんです。

 僚太や守田だけじゃない。(小林)悠もそうだし、(谷口)彰悟もそうだし、(車屋)紳太郎やノボリ(登里享平)もそう。ちょっとずつ、みんなに言葉をかけながら、育ってきた選手たちがチームの幹になる。こんなにうれしいことってないですよね。

 今、名前を挙げた選手たちが試合に出ている間に、(長谷川)竜也や知念(慶)、さらには(脇坂)泰斗や(田中)碧たちが、またその背中を見て、次の主軸になっていく。そこには今は期限付き移籍で外に出ていますけど、三好(康児)や(板倉)滉もいる。来シーズン以降には、三笘(薫)や旗手(怜央)も加入することが内定していますし、いずれ、それぞれがフロンターレの幹になってもらいたい。ここ数年で、そうした次への土台をしっかりと築いていくことができたらなって思うんです。

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