中村憲剛、大島僚太を語る。「大久保嘉人の加入で劇的に変わった」 (5ページ目)

　だから、いつだったか、「無理に向かってくる相手に正面から対応しなくていいぞ」って言ったことがあるんですよね。「味方を動かして、相手も動かすボランチが一番いいんじゃないの？」って。それを覚えていて意識してくれているのか、最近は手を抜くといったら語弊がありますけど、みんなに任せている時間帯や場面がでてきた。要所、要所はしっかり抑えて、抜くところは抜くというか。

――　そこもボランチには必要な眼ということですよね。

中村　もちろんです。基本的にボランチは試合の大局を見なければいけない。だから、自分がその視点に立っていることが重要。一緒にダブルボランチを組んでいたときには、僕が横にいることで、それを解消してあげることができましたけど、今は自分が担うことで自分自身の視線も上がってきている気がする。

　今、またあいつは、違うことが見えてきている時期なんじゃないかなって。とはいえ、まだまだ25歳。ボランチは経験がモノを言うポジション。これから、さらに成長していくと思いますよ。

――　チームメイトとして、先輩として、今後の大島選手に期待するところは？

中村　そこですよね。ワールドカップのメンバーに選ばれ、しかも大会直前まで主力的な見られ方をしていたなかで、自身のケガもあり、試合に出ることは叶わなかった。自分もＷ杯で１試合しか出ていないので、偉そうなことは言えないですけど、やっぱり、その線をまたぐのとまたがないのとでは全然、違うと思うんですよね。

　本人も痛いほど、そう思っているはずだから、次にその線を越えるために、これから何を選択していくのか。ただ、闇雲に海外に行けばいいというわけでもないですし、何が正解かはわからない。ただ、今、フロンターレにおいて、自分で課題を見つけながら成長していっている段階なので、もっと次元の違う「大島僚太」になってほしいと思います。

（後編に続く）