中村憲剛、大島僚太を語る。「大久保嘉人の加入で劇的に変わった」 (3ページ目)

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

―― 当初は自分にボールを預けるだけの存在だった大島選手に、変化が見られた瞬間や時期はあったのでしょうか?

中村 それはもう、2013年に(大久保)嘉人(現・ジュビロ磐田)が加入してからでしょう。僚太が劇的に変わったのは、そこからですよ。嘉人から散々「俺にボールを寄こせ」って言われていましたから。

 僚太自身も、少しずつプレーの幅が広がってきていたところに、嘉人が来て、「前に寄こせ!」「俺に寄こせ!」と、うるさいくらいに言う。同時に僕自身も、その年からトップ下になって、僚太の前でプレーするようになったから、「前に(ボールを)つけろ」と言う(笑)。言い返してくることこそないですけど、あいつには「なにくそ」と思う、負けず嫌いなところもありますから。言われたら、(前にパスを)出そうと試みる姿勢も成長につながったんだと思います。

―― たしかにそのふたりに「ボールを寄こせ」と言われたら、前に出さざる得なくなるかもしれないですね(笑)。

中村 僕は嘉人ほど言っていないと思いますけどね、たぶん......いや、僚太には言ったかな(笑)。あと、それ以上に変わったのは、背番号10を身につけるようになった2016年くらいからですかね。プレーの端々から、「俺がやるんだ」という気概が伝わってきた。

 チームで副キャプテンになったことや日本代表に選ばれたことで、僚太自身が変わらざるを得なくなったとも思うんです。加えて、彼のなかにはもともと、「もっとうまくなりたい」という思いが常にあったから、いろいろなタイミングが合わさって、加速度的に成長していったんだと思います。

―― 何が変わったのでしょうか?

中村 まずは、しゃべるようになりました(苦笑)。自分でチームをリードするようになりましたからね。あの僚太が声を張り上げて指示するなんて、加入当初は想像もできませんでした(笑)。そこには、2016年に(エドゥアルド)ネット(現・名古屋グランパス)が加入し、僕ではなく、ネットとコンビを組むようになったことも大きいんだと思います。

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